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地元の縁がつないだ福祉事業。豊郷台デイサービスセンター「みやスマイル」

前回の【社長通信】でも書きましたが、本澤建築設計事務所は、建築・設計監理を主要事業としながら、「ベルステーキ江曽島本通店」の飲食事業と「豊郷台デイサービスセンター みやスマイル」の福祉事業の運営もしています。

今回は本澤建築設計事務所が、なぜ畑違いの福祉事業「みやスマイル」の運営をしているのかを書きたいと思います。

築130年の古民家が解体の危機。価値のある建築を後世に残す

「みやスマイル」の特長の1つには、築130年以上の古民家を改装した施設であることが挙げられます。この「古民家」という点が、本澤建築設計事務所と「みやスマイル」との大きな接点となったのです。

時をさかのぼること18年前。本澤建築設計事務所では、「みやスマイル」の古民家を所有している地主様のご自宅の設計監理業務を依頼されておりました。

その過程で「古民家」の解体の話が持ち上がったのです。

現地調査で訪れてみると、立派な建物。地主である地元の名士が建てた民家は、130年の時を経ても劣化することなく、当時の大工の技術や心意気が息づいていました。

建築・設計を生業とする私としては、これほど建物を解体してしまうのは、やはり「もったいない」という気持ちが湧き上がります。しかしながら、現実問題として管理する人がいない。空き家として放置しておくにも限界がありましたし、今の時代の家族が住む家としては大きすぎました。

なんとかこの古民家を生かし、再活用する術はないかと考えたとき、当時、本澤建築設計事務所が店舗の設計を任されていた「ステーキ宮」の運営会社「株式会社宮」のことを思い出します。

詳しいことは、前回の【社長通信】を読んでいただきたいのですが、創業者の鈴木栄一氏が率いる「株式会社宮」は、「ステーキ宮」の多店舗展開に加え、不動産部門や福祉部門にも事業展開をし、現在のジャスダックにも上場するほどの大企業。

ここの「福祉部門」で、この古民家を活用してもらえないかと考えました。

この土地で長い間守られてきた歴史ある古民家を、地元の企業によって新たな生命を吹き込んでもらうことで蘇らせてはどうか、と。

この案には地主も「株式会社宮」も快く同意してくれ、古民家のコンバージョンの設計は本澤建築設計事務所が担当することに。本澤建築設計事務所が地元の縁をつなぎ、歴史ある建築物を守ることに成功した瞬間でした。

こうして今の場所に、株式会社宮が運営する「みやスマイル」ができたのです。

ノウハウもない、未知の介護事業を継承する

しかし喜びも束の間、「株式会社宮」は経営の苦境に立たされ、介護部門からの撤退を余儀なくされました。「みやスマイル」も例外ではありません。

私たちは悩みました。

「株式会社宮」の経営に関しては、私どもにはどうすることもできません。

ただこれは、弊社がつないだ「縁」でした。

価値ある建物をせっかく残すことができたのです。コンバージョンというカタチで、本澤建築設計事務所が新しい命を吹き込み、今はそこで新たな人が働き、たくさんの笑顔が生まれている。

それがなくなって良いのだろうか。

事業を継承するというのは簡単なことではありません。資金面もありますが、そこで働く人のことも考えなければいけません。そして何より、我々には介護福祉の知見がありません。

悩みに悩み、それでも何とか資金面の都合をつけ、本澤建築設計事務所が事業を引き継ぐことに。

当社が引き継いだのは、古民家をコンバージョンした豊郷台の「みやスマイル」のみで、他の「みやスマイル」は、創業者の関係する企業が継承・運営しています。

何も知見がない中で継承した介護事業。これを助けてくれたのは、私の妻の存在です。妻は私と結婚する前は看護師として働いており、看護に関する臨床経験はありました。それでも介護に関しては素人同然。まずは勉強のために、前述の企業が運営する「みやスマイル」で研修させてもらい、ノウハウを学んでくれました。

実は、私から妻へ「この仕事をやってくれ」と明確に頼んだことはありません。互いに業界の将来性について考え、その結果自ら率先して動いてくれたのです。

結婚して子育てのためにしばらく仕事を離れ、でもそのブランクを全く感じさせないくらい精力的に働いてくれました。

その時の大変さを思うと、妻にはいくら感謝しても足りません。

赤字続き…。無給で働く日々

本澤建築設計事務所の運営で「みやスマイル」がスタートしたのは平成18年(2006年)のことです。

そこから何年も、事業が軌道にのるまではずっと赤字でした。

それでもスタッフに給料を払わないわけにはいかないですから、妻は2年ほど無給で働いていました。介護職は業界的にも常に人手不足ですから、私も利用者さんの送迎をおこなうことに。送迎バスの運転手をする中で、利用者さんのバスの乗降の際の心遣いや全体を見渡して危険を予知する能力など、案外自分に向いていると思いました(笑)

「みやスマイル」は宇都宮環状線から内側に1本道を入ったところにあり、一見分かりづらい場所にあります。

その静かな環境に利用者さんたちは喜んでくれてはいますが、経営者としては施設の存在が知られにくいのは辛いところです。

いつまでも赤字のまま運営していくわけにはいかないので、スタッフたちにも「利用者さんを増やす」ことの大切さを理解してもらわなければいけませんでした。

振り返ると、正直一番苦労したのは「人材」面だったと思います。

私は基本的に建築・設計畑の人間です。介護・福祉に携わってきた方たちとは考え方やモチベーションの源泉が違います。もちろん、どちらが良いというわけではありませんが、スタッフがどうやったら気分よく働けるのか、どうやったら経営的視点も持

ってくれるのか…、悩むことは多かったです。

しかも、元々は上場していた「株式会社宮」が運営していた会社ですから、大手企業の安定を求める人たちにはショックだったのでしょう。結局は半分くらいのスタッフが、ここを去っていきました。

経営者としての学びと成長。スタッフへの感謝

そんな畑違いの介護に携わる中で、私自身が学べたことも多くあります。それは「働き方」です。

ここに書いて良いものか迷いますが、建築・設計業界は昔からブラックなところがあります。大学の製図室は24時間開いているところが多いと聞きますし、設計者なら「良い設計をしたい!」と思うと、寝る間も惜しんで働いてしまうこともしばしば…。

ゴールまでの過程が辛くても、最後に自分が心から良いと思うものはできて、それにお客さんが満足してくれたら、それはいただくお金以上の喜びです。

お金や時間以外のところにモチベーションの源泉があったので、つい「働き方」に関しては、無関心になっていました。

ところが、「みやスマイル」のような介護保険事業の場合は、そうはいっていられません。

介護保険事業は、利用者数に応じた適切なスタッフの配置や人数、有資格者の有無、労働時間まで厳しい決まりがあります。行政に対して細かい申請や届け出が必要ですし、不信な点があればチェックが入ります。

こちらに悪意がなくとも、ついウッカリがあってはいけません。

その中で「人が働く」ということ、労働法や介護関連の法律には、特に敏感になりました。介護保険事業に関わったことで、「適正な働き方」の範囲内で、どうやって事業を継続・発展させていくかという視点を得ることが出来たように思います。

また、人の見方も変わりました。

より一層「公平に・公正に」という視点で見ています。

スタッフはそれぞれ性格も様々です。働く理由も違います。人間なので好き嫌いもあるとは思いますが、「仕事をちゃんとやっているか」という視点で公平公正にスタッフを評価することが真のチームワークをつくりだします。

スタッフ同士がギスギスしていては、利用者さんが気持ちよく訪れることが出来ません。スタッフには「利用者さんのため」を第一に考えてもらいながら、こちらは公平公正に、仕事ぶりを評価して、気持ちよく働き続けるように気を配っています。

人材の確保にはいつも苦労します。これは業界的な課題でもありますが、少人数で大変な中、スタッフは毎日笑顔で頑張ってくれています。

しかも、「みやスマイル」はスタッフの入れ替わりも少ないので、利用者さんの身体のケアだけではなく、メンタルのケアまで丁寧にしてくれて、本当に感謝しています。

地域のために走り続けた15年

「みやスマイル」の事業を継承してから、15年がたちました。

デイサービスに来る利用者さんは、介護度が軽い方が多く、介護度が進行しないようサポートする役割もあります。それでも高齢者ですから、飛躍的に元気になるというケースはあまりありません。少しずつ介護度は進行しますし、いつかは亡くなられてしまいます。

何もないところから設計して、それが建物というカタチになって、それが人に喜ばれて、活用されて…、という未来に向かっていく設計・建築とは、違うのです。

私は「何をモチベーションにすればいいんだろう」という気持ちでした。

でもスタッフたちは、利用者さんと話すこと、笑顔になってもらうことがやりがいだと言います。実際に通ってくれる利用者さんも、確かに嬉しそうです。

そうした姿を見ているうちに、あっという間の15年。

気がつけば、商売としてではなく、私自身のためでもなく、

「地域のために」続けた15年だったように思います。

継承当初と比べれば、事業は安定してきました。

「縁をつないだ責任」は果たしたのでは?と思う日もあります。

しかし安定したとはいえ、まだまだ困ることも、悩むことも尽きません。

手放したほうが楽になるかもしれません。

ただ、この地域では、もっと出来ることがあるのではないかと考えてしまうのです。

この高齢化社会の中で、介護保険外のニーズが増えています。

ほんの一例ですが、同居家族がいる方には、買い物や料理などの「生活援助」を介護保険内で行うことはできません。

そういった介護保険ではカバーしきれない、細かい困りごとが世の中には数多く存在すると思っています。それらを「みやスマイル」として解決していく方法を確立することが、これからの目標でもあります。

今は、どんなニーズがあるのか、センター長を中心に掘り起こしている最中です。

センター長は、本澤建築設計事務所が事業継承したことに入職してくれて、私よりずっと現場のことを知っていますから、頼りにしていますし、きっと新たなニーズを見つけてくれると信じています。

介護施設運営のノウハウと設計に活かす

介護施設の設計のご提案も可能です。介護保険事業者となるための施設には、基準を満たす設計が必要です。しかし、その基準を額面通り捉えた設計を行うと、施設の規模が大きくなりすぎてしまうなどが起こります。

介護保険の基準に合わせたスペースのとり方などは、介護施設の設計と実際の運営のノウハウがあるからこそ、ご提案できることです。

当然、スタッフ・ご利用さんの使いやすさ・動きやすさなども踏まえた具体的なご提案も可能です。

これは私自身の反省でもあるのですが、本澤建築設計事務所はこういった介護施設の設計提案ができるにも関わらず、あまり宣伝してこなかったので、最近の介護施設設計のご依頼が少ない状況です。しかし、設計だけではなく、運営面まで理解した上で提案が出来るということは、ご依頼主様にも大きなメリットだと思うので、この機会に、ぜひ広く知っていただければと思います。

築130年を超える古民家を改修したデイサービスは、宇都宮市内でも「みやスマイル」だけです。

施設内の雰囲気は、ご年配のご利用者さんだけでなく、見学にいらっしゃったご家族やお取引先に至るまで「懐かしい感じ」「落ち着く」などと好評です。

そういった声を聞くと、あの時、解体せずに残して良かったという気持ちにもなりますし、何より残す道に賛同・協力してくれた地主様、係わった関係者の皆さま、スタッフのみんな、そして私の妻にも、心から感謝をしたいと思います。

おそらく一度見ていただければ、私があの古民家を残したかった理由を理解していただけると思います。

デイザービスをご検討の方は、ぜひ一度「みやスマイル」を見学してみてください。

→みやスマイルの公式ホームページはこちらから

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